東京高等裁判所 平成2年(行ケ)165号 判決
被告は、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しないから、原告の主張事実を全部自白したものとみなされる。
右事実によれば、被告の商標登録出願に対する拒絶査定は、査定不服の審判がなされることなく既に確定しているというのであるから、本件登録商標の商標登録が取り消されるか否かにかかわらず、被告の商標登録出願が商標登録を受けることはあり得ない。それゆえ、被告が新たな商標登録出願をした事実についての主張及び立証がなされていない本件においては、被告が本件登録商標の登録の取消しを求めることについて審判を請求する利益を有すると認めることはできない。
以上のとおりであつて、本件審判の請求は、審判請求の利益を有しない者の請求に係る不適法なものであつてその補正をする余地がないことになるから、商標法第五六条の規定により準用されている特許法第一三五条の規定によつて、却下すべきものである。したがつて、被告が本件登録商標の登録の取消しを求めることについて審判を請求する利益を有することを前提としてなされた審決は、その余の点を論ずるまでもなく、違法なものとして取消しを免れない。
よつて、審決の違法を理由にその取消しを求める原告の本訴請求は正当であるからこれを認容する。
〔編注〕本件における特許庁における手続の経緯は左のとおりである。
原告は、別紙一のとおり「タイム」の片仮名三字を左横書きして成り、第二五類「紙類、文房具類」を指定商品とする登録第一二四〇九二〇号商標(昭和四八年四月二〇日商標登録出願、昭和五一年一二月一三日商標権設定登録、昭和六二年五月二〇日商標権存続期間の更新登録。以下、「本件登録商標」という。)の商標権者である。
被告は、昭和五九年六月二二日、本件登録商標の登録を取り消すことについて審判を請求し、昭和五九年審判第一一九六六号事件として審理された結果、平成二年四月一二日、「登録第一二四〇九二〇号商標の登録は、取り消す。」との審決がなされ、その謄本は同年七月四日原告に送達された。